2015年7月16日木曜日

九州大学大学院講演会 台風をかいくぐり海を渡る

5月の阪神百貨店ライブ後の打ち上げで聞いた通り
710日に九州大学大学院で講演会が行われました。
1030から1200、九州大学伊都キャンパス。
博多駅から1時間掛かる場所にあります。

授業の一環とのことで、一般人は参加不可でしたが
福岡空港で運よく、講演会の内容などを聞くことができました。
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まずは簡単に時系列から。
7月910日は、台風9号が沖縄を直撃した時期にあたります。
じゅん選手自身が内地にこれるのかが危ぶまれてました。
でも、運よく9日の飛行機が飛んだようですね。
じゅん選手が帰沖する10日は、これといって予定がなかったので
ふと「博多駅から近いし、空港にでも行ってみるかな?」
という気になったんですよ。
もちろんどの便に乗るのかなんて分からないんですけど。
飛行機に乗る人が必ず通る、手荷物検査場の前に座ってました。
あのゲートを通過する瞬間、好きなんですよ。

運がよければ、じゅん選手が通るところが見られるかもなあ。
お疲れさまー♪ と一言声を掛けてみようかなあ。
その時は、絶対うちなーぐちを使ってみよう、とか思いながら
ゲートに向かう人の流れを目で追ってました。
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19時を過ぎました。空の旅気分も十分味わえたんで、
そろそろ帰ろうかな・・・と思ったんですが
なんとなく、もう一便見送ってみようという気になりました。

2010沖縄那覇行きにご搭乗の方は保安検査場に・・・」
というアナウンスのあと、何となく立ちあがり
検査場の左右を見渡してました。
周囲をよーく見てた、よーく見てたはずなんですが。

ある瞬間、正面を見たら、すぐ真正面に、
にこーっと笑ったじゅん選手が立ってたんですよ。

うわあああっ、た、た、立ってる!真正面に立ってる!
すぐ目の前に立ってるよ、立ってるよ。
どうやって、私が気付かないように正面に立てたんだ?
いやとにかく目の前にいるのは、黒いTシャツのじゅん選手だ。

 「さ、さっこーどぅまんぎたん」 第一声はこれが精一杯でした。
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そして、搭乗までの時間を割いて、話をしてくれました。
手をソファーの方に伸ばして、あそこに座りましょう、という仕草。
そこで10分位は話したでしょうか。覚えている限り書いてみます。

「『お疲れさまでした』んでぃち、ちゅくちあびぶさたくとぅちゃーびたん。
ちゃーびてぃねーらん」 ・・・いきなり笑われました。
そりゃそうだよなあ。「『お疲れさまでした』って一言言いたくて
やってきました。来てしまいました」って何だよw

ここからは標準語で書きますが
じゅん選手の言葉は全部うちなーぐちでした。
普通に会話するくらいのスピードです。
「あなたなら聞きとれますよね?」と言われたような気がして
「よし、受けて立ちますよ!」と、気合を入れて聞き続けました。

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「ここから離れたところにいるけど
チケットはマネージャが持ってる。あの人がくるまでは大丈夫。
何時に来たんですか?」「わしてぃねーらん」とごまかしたけど
私、12時ごろから空港にいたんですよw アホの塊ですね。

「行きの飛行機はさほど揺れなかったが、帰りは大変そうだ。
さーねーさん(東京ディズニーランドでロケをしてました)が
乗った飛行機は、着陸待機の為、空港上を旋回し、
揺れがひどくて、着陸した時には拍手が起こったほどだった」

「今日の授業の生徒数は約20人。男女半々。
うちなーぐちを勉強しているのではなく
外国語を勉強している生徒さん。中国語とか。
授業終了のチャイムが鳴った後も続けて話し、
終了後、生徒と円陣を組むように座り、ゆんたく。
僕のことを知ってた人が一人・・いや二人。
授業後youtubeをみんなで見た。
その後、学生数名と電車に乗り、食事に行った。」

思わず、「わじわじーすっさー(怒)」と相槌を打ってしまい、
また笑われてしまう。膝を叩きながら笑われた気がする。
確かに。いいトシした人間が言う台詞じゃないわ。
標準語で言うなら「腹立つなあー(怒)」ですからw
次が上手く聞きとり切れなかった。
多分「知ってたら後ろからついてきてた云々」かな。自信なし。

「うぬがくしーたーやか、わねーうちなーぐちわかいんどー!」
聴講できなかったやるせなさwがそう言わせてる。まだ言うかw

「そのあと、何という通りだったかは忘れたが
歩いていると男の人たちの大きな声がした。行ってみると祭。」
「博多祇園山笠っていうんですよ」
「何?・・・やまがた?難しいねー」
「見られて運がよかったねー」と相槌を挟む。

「たまたま福岡に来ていた沖縄の人たち3組と会った。
 『ひょっとしてじゅん選手かな?』と、恐る恐る声を掛けてきた」
「まさか福岡にいると思わないもんねー。びっくりしただろうねえ」

「帰ったら、来月のイベントの為の準備をしなきゃいけない。
まだできてない。どうしよう。
原稿は自分で書いてる訳じゃないけどね」 
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こんな感じの横顔でした。
至近距離から
写真を撮る訳に
いかないので
絵にしてみました。 
逆光だったので
髪の流れが見えず
おおざっぱに描いてます。


















時折視線をこちらに向けるけど、
右横顔を見ていることが多かった気がします。
空気を吸うような感覚ですーっとうちなーぐちを話し続けてる。
本当にバイリンガルだ。これはすごいわ。
大袈裟なリアクションも演技もない。
ただ穏やかに、そしてにこやかに話し続ける。
ふざけない。笑いも狙わない。
娘を亡くしてまだ日が浅い私への配慮なのでしょう。
芸人さんというより、少し控えめなひとりの青年。
ブルネットの瞳が遠くを見てました。



写真を撮った後、床に置いた杖を拾ってくれました。「足を痛めると腰が痛くなるので気をつけて下さいね」・・・この言葉を、私は少し驚きをもって聞きました。医療従事者でもないこの年齢の人の口から、そんな労わりの言葉が出たからです。

確かに、歩き方が不自然になるから、腰に負担が掛かりやすくなるんですよ。でもそれは、経験をした人間でなければ、おそらく分からない。高齢者と身近に接してきた証拠かもしれないな、と思いました。

二度振り返りながら手を振り、じゅん選手は検査場の中に入って行きました。
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大学院の教壇では、紙芝居のネタをやったけれど伝わらず
あとから標準語で解説をしたそうです。
だから結果的に、教室で標準語の話を聞くより、
空港でうちなーぐちonlyの話が聞けて、私は幸運でした。

保安検査場に入っていく時に見えた背中には、
金色の文字で、「いなぐふーじ」と書かれてました。
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12日の沖縄タイムスに、こんな記事が紹介されてましたね。
政府刊行物に、彼は名前を刻みました。 
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●追記●
こういうことを書くのは、本意じゃなかったんですが、この記事を読んで
「8時間もアテなく待ってるなんてバカでしょwしかも一人で?私には無理だわあw
「その歳で?腰痛くなりません~?」
「今度沖縄に行ってやりたいこと!出待ちという名の待ちぼうけw」
という感想を持たれた方がおいでになったので、追記しておきます。

「あなたは将来きっと大学の教壇に立つ。文化枠にも軸足が乗る」
というファンレターが、娘のパソコンに残ってました。
希望と予測が当たった姿を見せてやろうかな・・・というのが、
福岡へ行った本当の理由です。遺髪を持って行ってました。

じゅん選手ご本人も、7月10日に九州大学主催の講演をする、
ということしか知らされておらず、
マネージャーさんは、ご自身の演劇公演で多忙を極めており、
結局くわしい告知が間に合わなかった。
大学の授業の一環で、一般人が入ることは無理だと知ったのは、福岡到着後。
つまり、授業姿を見ることはできなかった。

しかし私の足は、そろそろ遠方への旅が難しくなってきています。
これが最後の機会になるな・・と思って、バカを承知で空港に行きました。

親しい人を亡くした方はきっとお分かりになるかと思います。
「あれをしておけばよかった、今何をしてやればいいだろう」そんな気持ちを。
私は、せめて髪の毛だけでも連れて行ってやろう、と思いました。
こういう行為は、傍目にはバカなことだったりします。
しかし遺族の心の慰めにもなるものです。

まだ初盆も済んでいない時期なので、諸事情ご賢察下さい。

でも、待っててよかったと思いますよ。いい青年でした。

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ツイートは時間が経つと探しづらくなるので
講演会関連のツイートをここに転載しておきますね。